さっき宅配便やさんにパソ子を託しました・・・
盆休みを利用して治療の旅に出しました。
たぶん2週間くらいの旅だそうです・・・達者でなぁ~~(って達者じゃないから旅に出たんだけど・・・トホホ)

だもんで、当分は夫のパソ太郎にひたすらお世話になります。
ただ、この部屋暑いっす・・・灼熱どすえ~~(ジブンが壊れそう・・・)
まぁ一種の修行です・・・◇

さて・・・実家では例によってNHKとお台場と汐留の番組しか見られないので(毎年♪サライと地元協賛CMばっかり耳に付く季節・・・はぁ~(ため息))本を読みまくると思います・・・
もちろんヨメそっちのけです・・・(←ひらきなおりに定評アリ◇)

その前に読書メモ書いときます~。

【劔岳〈点の記〉】(新田次郎)

映画は見てませんが、その宣伝の印象からもっと雪崩や遭難シーンがたくさんあるスペクタクルだったり「八甲田山」みたいだったりする内容なのかと思ってました。
でも原作はむしろ淡々と、陸軍の陸地測量部・柴崎芳太郎という実在の人物が前人未踏といわれた(実は歴史的にはそうではなかったのだけど・・・)劔岳山頂に三角点を設置するまでの苦難を描いたものでした。

実は日本の未登頂だった山はほとんどがこの測量隊によって三角点を設置する目的で登頂されていたのですね・・・
ちっとも知りませんでした。
そもそも登山するための山岳地図をつくるには最初に登って測量をした人がいたはずで・・・まさに黒子であり縁の下の力持ちであり歴史の表舞台にはあらわれてこない人たちの努力と苦難のたまものだったのですね。
その事実にまず感動しました。

最初にこの主人公柴崎は(映画では浅野忠信だそうで・・・イメージはわたしはピッタリでした。)上官に(陸軍ですからね)「このたび発足した‘日本山岳会’に初登頂を譲ることは許されない。命にかえてもこの測量部が初登頂の栄誉を手にするように」というような命令(恫喝?)を受けます。
いえ、はっきり「命にかえて」とは言いませんが、でもそんな厳命を受けたも同様のプレッシャーが与えられます。
そもそも測量部においても何度も挑戦しようとしながら果たせなかった「死の山」であり「禁忌の山」なのです・・・そんなところに新婚の妻をおいて行かされる柴崎はたまったものではありません・・・

↑というのは現代の感覚で・・・謹厳実直な柴崎はプレッシャーをうけながらも誠実に着実に不可能と思われた登頂にむけて一歩ずつ進んでいきます。
もう、まさに苦難の道のり・・・だれに聞いても不可能という答えしか返ってこないなか、なんとかなんとか針の穴ほどの可能性にかけては裏切られ、を繰り返し、ついに・・・・・・・っ!??
その道のりの丹念で冷静な描写がかえって胸にせまります。
もう気持ちは柴崎&彼を補佐する~実際には‘導く’~宇治長治郎(映画では香川照之さん・・・う~ん見てみないとイメージが・・・?)はじめとする現地の案内人たちの応援団ですっ!!

この、いうなれば‘チーム柴崎’のチームワークがなんともいえず温かいのです。
雇い人であるのに決して威張ることをしない柴崎と、実直に柴崎の役に立ちたいとだけ願う長治郎たちの、分をわきまえたふるまいと案内人としてのプロ魂に感動します。

金持ちの趣味でしかない山岳会になんか負けるなぁ~~~~っ!!!なんて拳握って、苦難にぶち当たるたびに一緒になって凍えてたりずぶぬれになってたり落石に命を落としそうになる体験をしてるかのような、そのくらいに引きこまれる文章です。

でもね・・・命にかえる思いで登頂を果たしたあとに待っていたものは、賞賛と賛美の声でもご褒美でも名誉でもありませんでした・・・
実はたどりついた山頂には何と奈良朝時代のものと思われる修行者の錫杖が残されており、歴史的な初登頂ではないと報告をうけたとたんあんなに熱を示していた上官たちにとって一転なんの価値もないことのように無視されてしまうのです・・・うっうっうっ・・・酷い・・・無情すぎます・・・
その時に、当のライバルであった山岳会の人たちこそが真の価値と偉大さをわかっており、祝福の言葉を寄せてくれます。
無念さと無常感にとらわれてしまう柴崎も、そのことでわずかにではあるけど救われた気持ちになるのです。
・・・うっうっうっ・・・「山岳会なんかに負けるな~」なんて思っちゃってごめんなさい・・・・

いちばん胸にせまるのは、登頂そのものの苦難ももちろんですが、それをただただ己に与えられた任務として遂行することの愚直なまでの誠実さでした。
だって、実際皆の役にたつ地図を完成させるには劔に登頂して三角点をたて測量するしかないんです・・・
だから柴崎と仲間達は黙々と遂行しようとするのです。
そこには理屈も願望も言い訳も存在しないのです・・・無情なまでに・・・◇

実際に使用された当時の機器の説明もあるのですが、それらを運んだり現地で手造りしたり心を込めて手入れしたり、そして命懸けで運んで設置して使用する場面の丁寧で細かい描写も圧倒的でした。
無機的な描写なのに感動するのです。

命をかけてそんなことを・・・という理不尽さを感じながらも、その「愚直なまでの誠実さ」に、当時の職業人がもっていたであろうそんな態度に、いちばん胸をうたれました。

その時に唐突に思い出したのが、唐突すぎますが「広告批評」のスマップ特集にあった島森編集長の忘れられない言葉です。
何度も勝手に(汗)引用させていただきましたが、しつこく・・・

*****SMAPの面々が、職業人としてのまっすぐな姿勢をいつどうやって手に入れたのか、想像するしかありませんが、それぞれに内発的なモラルを持ち、自分の自慢や他人(メンバー)の批判をせず、仕事は、技術であると同時に、自分を鍛えるものだと思っていて、けれど、それは言葉のはしばしには感じさせても、決して精神論にはならない。こういう仕事へのモラルを、どれだけのオトナが持ちえてきたことかと思います。*****

「たかが芸能人としての仕事に対するモラルと、明治時代の命懸けの任務を同列に語るな」と言われればホント一言もありませんが・・・
そしてもちろんスマたちのお仕事は決して「上官から遂行命令をうけた任務」などではありませんが・・・(??)
でも思い出さずにはいられませんでした。
(これは単にわたしがスマバカだから、との自覚は充分でございます・・・大汗)

一方、どうしても美化して感動してしまう柴崎たちの任務遂行意識・・・これはもちろん一歩間違えれば連日中居くんが伝えてくれている戦時中の「上官の命令は絶対でありますから!!」の世界であり、決して無条件で美化してはいけない、ということも忘れてはならないとは思います。

結論・・・・・映画も見たいぞ~~(笑)
いやぁ、もともと山岳小説がすきで新田次郎はかなり読んだつもりだったけど、初めて知ったこの本。
映画きっかけで平台に並んでくれてありがたかったです◇



【精神科ER 救急救命室】(備瀬(いせ)哲弘)

これは一転、実際の精神科のお医者さんの手記?です。
若く理想に燃えた沖縄のお医者さんが、自分をより苛酷な第一線に置いてプロフェッショナルとして経験を積みたいと都内の「精神科ER」のある病院に修行?に来たときのいくつかのケース紹介です。

精神科にも救急があるんだ~というのが率直な感想ですが・・・考えてみればたとえば突然自殺を図ったひとや、家族に危害をくわえられたひとや、他人に襲いかかり心神耗弱なひとなどが運び込まれた場合、その原因が「うつ」であったり「幻聴・幻覚」であったりすることも多く精神科のお医者さまが呼ばれる場面も多々あるのですね。

うつ・家庭内暴力・リストカット・アル中に薬中・他人の声が常に聞こえる幻聴などなど・・・興味深い(といっては不謹慎だけど・・)な事例が次々と登場してとても面白い(また不謹慎・・・?)のですが、でも同時に物足りない。
なぜかというと、ここは「救急救命室」なのでほとんどの場合は翌日や数日後には別の病院にかかってもらうことになるシステムなのです。
なので「・・・で、結局このひとはどうなったの???」という欲求不満ケースの連続なのです・・・
これは仕方ないことなのだけど、う~ん、もどかしい思いばかりが残りますねぇ。

だけどなんにせよ知らない世界のことが知れてそれが決して他人事ではない点と、この作者が日々悩みつつ患者に誠実であろうとする態度と現実の忙しさのジレンマに悩んだり・・・な等身大のレポートに、こちらでも「お仕事に誇りと責任感をもって向きあうこと」を教えられた気がしました。

さぁてスマバカ全開コーナー・・・やっぱりお医者さまといえば直江せんせいが脳裏に・・・(大汗)
直江せんせいと石倉さんとのスリリングな距離感・・・最後には嘘をわかちあう同士として目と目でわかりあえた濃密な関係などを思い出してしまいました・・・。

あ~ん・・・直江せんせい~~~っ!!(だから白衣ものはダメだって・・・汗)


【しゃべれどもしゃべれども】(佐藤多佳子)

これは、確か映画で国分くんが演じたな~~好評だったんだよな~~程度は知っていたのですが、
なんたって本のウラの「歯切れのいい語り口で、言葉にできないもどかしさと不器用な恋を描き・・・」というフレーズに、ここだけに(笑)惹かれて買ってしまいました。
落語好きではないけど、落語家が主人公のおはなし好きではあることプラスその昔の「乙女チックマンガ」にはまった歴史が合体してついつい・・・(照)

ああ~もう時間がないし(・・・いつも通り長すぎるからでしょ?・・・ハイ)あまりに暑いので・・・
とにかく「面白いから読んでみて~~!!」としか言えません(←放棄?放置??汗)

とにかくとにかく面白かった・・・
落語家が主人公だけあって、見事な人情話であり成長物語でありもちろんキュンキュンな不器用&無粋同士の恋愛物語でもあります♪

主人公、まだ二ツ目の「今昔亭三つ葉」(本名トヤマタツヤくん)のもとにひょんなことから落語を教わりに集うようになった訳ありの少年・OL・いとこ・おっさんたちのキャラクターといい、タツヤを育てたお茶の先生であるばあさんといい、三つ葉の師匠といい同輩・先輩・後輩といい・・・もういちいち脇役にいたるまでキャラクターが情けなかったり傍若無人だったり無鉄砲だったりで魅力的なんです。
悪人はいません・・・まさに人情話です。

とくにその「言葉にできないもどかしさと不器用な恋」の部分ねぇ~~・・・
相手役のお嬢さんがまた一筋縄ではいかない、よく見ると美人だけどとことん不器用で無愛想で黒猫のようで・・・自分に自信がなくて人を愛することが怖い彼女が三つ葉くんの「上にバカがつく単純さ」に惹かれていくのよね。
三つ葉くんのほうも罵詈雑言を浴びせられながらも気にならずにいられない・・・
あ~~~ほんともどかしいのです。

・・・とにかくほっこりしたいひと、キュンとしたいひと・・・読んでみてね♪
わたし昨日美容院でカラー(別名・シラガゾメ)されながら笑いをこらえたり涙をこらえたりでタイヘンでした(笑)


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はい、さすがにお時間切れです。
また日曜日に帰って参ります☆

ではヨメしに行ってきま~~~す(トホホ・・・究極のグータラ嫁で~す・・・)◇

コメント

きお
2009年8月14日12:13

くるみ様、こんにちわー。
きゃー、くるみ様から「しゃべれども~」が出てくるなんて嬉しい♪♪
感想書こうと思ってた所だったんですよ。

三つ葉の気風のよさとお話の流れがフィットして、あれよあれよという間に読み終わってるんですよね。
ほおづき市でのデート(?)は、なんだか和んじゃうんですよねー
野球解説者と小学生とのやりとりも楽しくて☆
落語が主体のお話だから、全体的にテンポ良く進んで読みやすかったです。

ちなみに佐藤さんの小説で他に気に入ってるのが「一瞬の風になれ」と「神様がくれた指」です。
「神様が~」は、スリと占い師さんのお話なんですけど、スリは犯罪なのに魅力的に感じてしまう危ない本です(笑)

くるみ
2009年8月16日15:58

>きおちゃん、こんにちわ~☆

よかったぁ~~きおちゃんもきっと好きな小説だろうなぁなんて思いながら読んでました♪
不器用な人ばっかりが出てきて、でもそんな誰もが愛おしいんですよね。
映画では三つ葉が国分くんっていうのがすこし可愛いすぎる気もします・・・(えらく三枝師匠にほめられてた記憶がありますが◇)
もうちょっと不器用で単細胞で無骨なイメージ・・・というと、いくら妄想中毒のわたしでも中居くんに当てはめるには無理があるかなぁ・・・?
でもね、どんな役でも自分を自在に変えてしまえる彼だし、ちょうどこちらで再放送中の味いちをみてるとベランメェな中居くんの三つ葉もイケるような気がしてきます♪
で、お相手の黒猫美女には映画のかりなさんというよりはどうしても松雪さんが浮かんじゃったんですよねぇ◇(もちろんもっと若くて、色黒になっていただいて(笑)

「一瞬の~」は本屋さんで見かけるたびに「今これを3冊買っちゃったら日常生活に支障をきたす・・・」とハマることがわかってるだけに後ろ髪でガマンしてたのにぃ~~きおちゃんおすすめの「神様がくれた指」というタイトルだけでソソられて辛抱たまらんくなって、たったいまアマ〇ンぽちっとしちゃいましたよぉ~~どうしてくれるのっっ!??(恥&笑)

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